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世界初の「見えない人工内耳」、オーストリアで誕生

オーストリアの医療技術企業MED-ELが、世界初となる完全埋め込み型人工内耳を発表しました。同社が15年にわたる研究開発を経て実現したこの革新的な人工内耳は、医療研究の一環ではなく、実際の使用を目的とした埋め込み手術が初めて行われました。すべての構成部品が皮膚の下に収められているため、外部から装置が見えないのが大きな特徴です。 
© MED-EL Elektromedizinische Geräte GmbH
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オーストリアの医療技術企業MED-ELの歴史は、50年以上前にウィーン工科大学で始まりました。以来、同社は先駆的な技術革新を生み出し、技術の改良を重ねることで、難聴に悩む人々の生活をより豊かなものにしてきました。そして今回、すべての構成部品を皮膚の下に収めた、世界初かつ唯一の完全埋め込み型人工内耳を発表しました。 

軽度から中等度の難聴には、音を増幅して聴こえを補う補聴器が一般的に用いられます。しかし、より重度の難聴では、補聴器だけでは十分に対応できない場合があります。そこで用いられるのが人工内耳です。人工内耳は、内耳の損傷した部分を介さずに聴覚神経を直接刺激することで、音を認識できるようにします。

まず、受信装置が音を捉え、その情報をインプラントに伝送します。インプラントは電気信号によって蝸牛を刺激し、発生した信号が聴覚神経を通じて脳へと伝わります。脳がその信号を処理することで、音として認識されます。

MED-ELを創業したインゲボルク・ホッホマイヤー氏とエルヴィン・ホッホマイヤー氏は、1975年に人工内耳の開発に着手しました。そして1977年には、初めて人工内耳の外科的埋め込みを実施しました。以来、この先駆的な装置を基礎として、現在の人工内耳技術が発展してきました。

 開発の初期段階から、研究チームが目指していたのは、外部から見えない人工内耳の実現でした。それは外見上の理由だけでなく、装置を使用する人々の心理的な負担を軽減することにもつながると考えられていたからです。

しかし、当時は適切なバッテリーやマイクを実現する技術がなく、完全埋め込み型の人工内耳は長らく夢のような構想にとどまっていました。例えば、センサーを皮膚の下に配置すると音の伝わり方が変わってしまいます。この問題を解決できる装置を開発することが、最大の難関となりました。

15年にわたる研究開発を経て、MED-ELはついに、すべての構成部品を皮膚の下に埋め込む完全埋め込み型人工内耳を発表しました。すでに世界各国で約40人の患者がこの装置を使用しており、最近では臨床研究以外で初めて、実際の使用を目的とした埋め込み手術が行われました。 

この新しい人工内耳の大きな特徴は、外部装置を必要とせず、就寝中や水中でも使用できることです。また、バッテリーの充電中も機能が途切れません。こうした特長により、日常生活における行動の自由が広がり、難聴のある人々の自立や生活の質の向上につながることが期待されています。

MED-ELは、発展途上国や新興国での国際的な社会貢献活動が評価され、今年のTRIGOS賞(オーストリアにおける企業の社会的責任〈CSR〉に関する賞)を受賞しました。同社は、研修の実施、早期診断の推進、誰もがアクセスできる知識共有の仕組みづくりなどを通じて、各国の聴覚医療体制を総合的に強化する取り組みを進めています。 

難聴がコミュニケーションの妨げとならない社会を目指し、人々の生活の質の向上に取り組むMED-EL。その活動は、革新的な医療技術の開発にとどまらず、世界各地の聴覚医療の発展にも広がっています。