9月中旬、ウィーンの中心地ではユニークな競技会 World Tram Driver Masters 世界路面電車運転士選手権 が開催され、訪れた何千人もの人々を魅了しました。イベント告知を見て、ウィーン市交通局(Wiener Linien)の広報活動だと勘違いした人、イベント開催を待ち受け、競技を観戦し、参加者を応援しようと意気込んで来た人、偶然通りかかり、会場の熱気に巻き込まれた人など様々な人々が会場に集まりました。
技術、強靭な精神力、器用さとともに、ホームでの開催といったアドバンテージが加わり、オーストリアが世界路面電車運転士選手権で初優勝に輝きました。団体戦では、フロリヤン・イサクとエリザベート・ウルバニッチが金メダルを獲得。銀メダルはポーランド、銅メダルはノルウェーが受賞しました。個人戦では、トーマス・ラングコップ(ドイツ)が優勝、ダリウシュ・グライ(ポーランド)が2位、フロリヤン・イサク(オーストリア)が3位を受賞し、オーストリアは2つの表彰台で成績を残しました。
2012年にはドレスデンで第1回ヨーロッパ路面電車運転士選手権が開催されました。地域域路面電車システムの140周年を記念して初開催された当選手権は、それ以来、路面電車網を持つヨーロッパの様々な都市で定期的に開催されています。この競技には、常に参加都市で運行されている路面電車が使用されています。
この競技会が国際的な関心を集めたことから、今年ウィーンにて初の世界路面電車運転士選手権が開催されました。6大陸から集まった2人1組の25チームが、8種目にわたり技術、経験、繊細な操作を披露しました。目標地点でのブレーキ、後退走行、側方の距離判断、速度維持、Stop & Go(スムーズな停発車)、正確な停車といった競技は、公共交通機関で乗客が日常的に意識することなく恩恵を受けているサービスばかりです。さらに、トラムカーリングやトラムボウリングといったユニークな競技は、運転士にとっても楽しい種目となり、観客からも大きな拍手が送られていました。
この度の路面電車フェスティバルでは、ウィーンの路面電車160周年も祝われました。路面電車が運行を始めた頃、車両はまだ馬に引かれていました。今では、オーストリアの首都ウィーンは世界で6番目に大きな路面電車網を誇っています。人気においてもウィーンはトップクラスを誇っています。国際的なメディア企業「Time Out」は、世界で最も優れた公共交通網を持っている都市の調査を実施。50ヶ国、18,500人を対象とした調査において、ウィーンはヨーロッパで2位、世界では7位にランクされました。この度開催の、第1回世界路面電車運転士選手権における初代優勝は、ウィーン市交通局にとっても誇らしい栄誉の一つに輝きました。
旅はこれからも続きます。現在は次の停車場、2026年にポーランドのワルシャワで開催されるヨーロッパ路面電車運転士選手権を目指して走行中です。